【世界観設定】

中央大陸方面

中心地に位置する地方であり、歴史の古い国家が多い。特にマルクト中央王国は騎士団の離反までは唯一無二の大国であり、中央大陸の名もマルクトに由来する。多くの国家が内海を囲むように存在する。ティファレト神信仰の総本山があることから、内海は「女神の海」と呼ばれている。

勢力:マルクト中央王国

中央大陸地方の名の由来となっている、この世界で二番目の面積を持つ巨大な浮島「メレク大陸」の大半を占める大国。歴史的にもウラヌス時代黎明期からの長い歴史を誇る最古の国家である。強大な王権を持つ中央集権国家であり、比較的豊かである反面、国民は厳しい統制下に置かれている。かつては神聖国ティファレトの「守護者」を標榜して騎士団を送り込んでいたが、騎士団の離反以来ティファレトとの関係は悪化している。以来、表向きは教団との関係を断ち「マルクト正教」という独自の宗教を持っている。ただその教義はほぼティファレトと同様であり、また、正教教団がティファレトとの外交ルートの役割を果たしている。今は雲海の壁によって国土の大半を分断されているので、ティファレトやセファ等の雲海の壁の中にいる諸国からはマルクト国内の状況がほとんどわかっていない。

都市:王都ラガシュ

マルクト中央王国の王都。メレク大陸の東方に位置する。この世界で屈指の歴史を持つ古都。またオルファンの多くは雲海に生息するので、ラガシュは歴史上ヌシの襲撃を受けた記録がない。現在は、雲海の壁によって雲海の壁の中にある諸国との国交が途絶えている。

スポット:アビス

メレク大陸の東端の沖合にある、常に激しい上昇気流が吹き荒れる巨大な穴。ここからしばしば小型のオルファンが出現し、近くを通行する艦船や沿岸の人々に危害を加えている。伝説では地上につながっている穴であると言われているが、激しい上昇気流により通常の飛空艇では決してアビスに近づけないため、アビスの底を見たという者は誰もいない。反面、アビスは虹の名所としてもよく知られており、アビスを見おろせる場所は、今ではすっかり観光地化されている。雲海の上では通常虹は空にかからず眼下にしか見えることがないが、アビスはその例外であり、上昇気流が運んでくる水が毎日数回見事な虹を空にかけている。

スポット:シュラウゼ

メレク大陸の東端近くの崖にある巨大な人工の門。水門の奥には、マルクト王国の王都ラガシュの地下まで続く地下水路(カナル・ブラウアバルト)がある。今は雲海の壁によって通行できないため、水門は閉鎖されている。

都市:スプリングビル

シュラウゼの沖合にある浮き島。元はマルクト領で、シュラウゼの水門通過の順番待ちの船舶と人々で賑わっていた。たが、ティファレトとの戦争の結果、神聖条約連合の共同管理地となった。以来、「公社」と呼ばれる各国共同出資の会社による統治が行われている。ハイメス=ロッホからアビスの観光船の中継地となっているので町は殷賑を極めている。だが、警察機構は弱体で、特に経済犯罪に対して及び腰なので、裏では密輸を生業としている犯罪組織も暗躍している。

都市:ウラヌス修道院

メレク大陸の東南端近くに位置する修道院。ティファレト神の信仰を教義とするが、中央教会からは独立した組織となっている。修道院としての機能の他、付属の寄宿制学校があり、各国の王侯貴族や資産家の子弟がこの修道院から多数巣立っている。

都市:セプテム・モンテス

観光地として栄えている小さな都市国家。地盤が非常に脆く、島の周縁部が常に崩れて落下し続けている。そのためこの1世紀で約0.2%の陸地が失われたという。いつからか「砂時計の町」と言われるようになったが、それが砂のように降り続ける白い廃墟のかけらの美しさを指したものか、いつかすべて砂となって落ちて行く運命を指した皮肉なのかはわからない。ハイメス=ロッホが大国だった時代、この町の沖合がティファレト騎士団との戦場になったが(セプテム・モンテス沖海戦)、大敗したハイメス=ロッホはその後弱体化の一途をたどった。

都市:メッシナの浮き島

中央大陸地方内で最大の商都。大富豪のイグニス・ロータが築いた人工の浮島。どこの国にも属さず、また固有の武力を持たないが、イグニスの「外交力(=各国要人の弱みを握ること)」により決して軍事攻撃を受けることがない。ただそれも人間相手の話で、オルファンにはそんな理屈は通用しないので、対オルファンの防衛力は傭兵ギルドに依存している。マルクト中央王国から交易に関する庇護を受けていたが、今は雲海の壁によって連絡が通じないため、独自に交易ルートを開拓している

勢力:神聖条約連合

ティファレト神の信者が多い国家群による緩い連合。現在では形骸化していてあまり機能していない。

勢力:神聖国ティファレト

中央大陸地方の強国。メレク大陸より東の浮島に位置する。聖神ティファレトの教えを重んずる中央教会が統治する宗教国家で「神聖条約連合」の盟主として周辺国家と同盟関係にある。宗教的権威だけでなく軍事力も強大であり「空に浮かぶ魂に安寧を」の教義により、救いと称した戦闘行動や侵略行動を行うことすらある。その最大兵力となっているのが極めて高性能・高戦力の軍用飛空艇と一流の操縦・戦闘技術を持つ多くの騎士を擁するティファレト四騎士団である。建前上はヌシの討伐派遣などが主任務であるが、その剣はしばしば民にも向けられる。

都市:聖教庁区(サンクトゥス・ドミナス)

中央教会の総本山が置かれている宗教都市。聖職者とその関係者以外は立ち入りを禁じられている。ティファレト以外の国の人々からは「サンクチュアリ」と呼ばれることが多い。四騎士団の詰所や審問を行う裁判所なども存在している。

都市:市街区(ギブオン)

サンクトゥス・ドミナスと双子の都市になっているティファレトの事実上の首都。だが経済活動に対しても適用される厳しい戒律と、通常の税金と共に課される、「喜捨」と呼ばれる事実上二重の税制によって、街はすさみ、多くの住民は貧困に喘いでいる。

スポット:北の塔

ティファレト国内のほぼ最北端にある浮島。ガイア時代に築かれたという古城の廃墟がある。ベルティーユ・ラ=ジルエットによって勝手に占領され、研究所兼要塞に改装されている。

都市:シドン島

ラ=ジルエット一族の旧領地。歴史的には、マルクト騎士団がマルクトから独立し、中央教会から領地を与えられた時代からの歴史ある「騎士団領」の一部。今はティファレト騎士団によるシドン島侵攻によってティファレト騎士団の支配下にあり、ジルエット一族は北の塔まで追われている。

勢力:セファ王国

中央大陸地方の南東に位置する海洋国家であり、運河を使用して生計が成り立つ都市。「神聖条約連合」に加盟しているが独立国家である。交易によって繁栄しており、また少し離れた浮島にある農業プラントであるマルゴー島を保持しているので、小国ながら経済的には豊か。

都市:王都セファ

セファ王国の王都。厳密にセファ王国の版図となっているのはこの王都のみ。航海士ギルドのギルド本部が置かれていることから、航海士が多く住む街として発展した。王宮近くには、旗艦「パルジファル」の発着が可能な巨大カタパルトが設置されている。

都市:マルゴー島

セファ王国が国力を挙げて建設した農業プラントであり王国の穀倉地帯となっている長閑な浮島。かつては王都と地続きだったが、その後人工的に切り離されて飛び地となっている。島で唯一の小さな港は農作物の積み出し港として活躍しているが、狩猟を生業とする地元の航海士たちも使っており、小さな町にしては活気がある。

都市:ミシュマル

内海南方にある小都市。セファ王国に代々臣従してきた領主が支配しているが、地理的にセファ王国から少し遠いこともあり、事実上の半独立国家となっている。セファ王国と南方の諸国との間の交易の中継地として、莫大な富を生み出していたが、雲海の壁により前ほどの栄華はなくなっている。

都市:ハイメス=ロッホ

メレク大陸からやや南に位置する浮き島。赤く切り立った崖の上にある港は「風待ちの港」として有名で、交易商でその名を知らぬ者はいない。ただ、ケシェト商会が交易の覇権を持つ現在は、かつての賑わいも翳り、施設の老朽化も目立っている。とはいえ、今でもセファ、メッシナと並んで中央大陸を代表する港湾都市である。かつてマルクト、ティファレトと覇権を競ったハイメス大公国の古都だったが、大公家が断絶してからは共和制の都市国家に移行している。昔日の栄華がいろいろな意味で色褪せているが、世界最古のハンターギルドがあることは町の誇りとなっている。また観光地としての人の多さを活かして、アビス観光のクルーズ船の拠点ともなっている。

南部大陸方面

この世界で最大の大陸。中央大陸よりも南部の赤道付近に位置するので暑い地域が多いが、大陸南部は南半球の温帯地域となっている。さまざまな地域の文化が融合して混然一体となっている地域。だが、現在では大陸北端のハザリフ連邦の一部とそれ以外の地域は雲海の壁によって分断されている。

勢力:ハザリフ連邦

南部大陸にある小国家。外交能力が皆無に近い都市国家の連合体であるため、大国の圧力に弱い。半面経済力は高く、世界の交易の中心地のひとつとなっている。世界一人口密度が高い地域。現在、雲海の壁によって連邦内は分断されている。

都市:トゥマシク

ハザリフ連邦の北端にある交易の一大拠点。南北の異なる文化が混在し、時に融和、時に衝突するエネルギッシュな商都。トゥマシク以南は非常に危険な海域が多いので、北方から交易に来た商人は、南には向かわずトゥマシクで南方の交易品を購入することが多い。だが15年前から雲海の壁で主要な交易地と分断され、町は火が消えたように寂れており、アウトローな冒険者の巣窟となっている。また地下闘技場や奴隷市場などディープなスポットも多くある。

都市:マジナタラム

ハザリフ連邦を構成する小国のひとつ。国土の一部が砂漠に飲み込まれかけており、連邦で最も貧しい国家。更に、連邦内の他国との間にある渓谷には人語を話す邪悪なヌシ「スピンクス」が出没するという。ただ、優れた手工業の様々な技術が残っており、「職人の都」と言われている。

北方大陸方面

極地にある極寒の大陸。凍結した万年雪のため大陸は徐々に大きくなっているが、厳しい環境のため、人が住める場所はごくわずかで、国家としての体をなしていない。各地に「ハーフェン」と呼ばれる、飛空艇の発着港を持つ都市国家が散在している以外、ほとんどの地は無人の氷原に過ぎない。現在は雲海の壁に阻まれており、内部の状況はわかっていない。

スポット:寒姫の雲海

北方大陸を他地域と隔てる難所。ここを超えるには熟練した飛空艇乗りと船団が必要とされるという。吹き荒れる極寒のジェット・ストリームに機械は異常動作を起こし、ダイヤモンドダストに生物の肺は凍りつく。また寒姫の雲海を超えてきた冒険者たちは口を揃えて、綺麗な歌が聞こえた瞬間、一緒に飛んでいた飛空艇が跡形なく消えていたと伝えており、その歌声から「寒姫」の名が冠されている。更にこの雲海の中には「マキリー・ピーク」と名付けられた難所中の難所があるという伝説があるが、最奥から生還した者はいないので、それがいかなる難所なのかはわかっていない。